「石垣島への陸自配備」5月17日、若宮防衛副大臣石垣市長表敬と称し配置計画を提示。
- 2017/05/17
- 22:24
石垣島より:
関連記事:石垣島への陸自配備計画、4月14日早朝沖縄防衛局市有地で現地調査を開始。
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/blog-entry-350.html
5月17日のNHK沖縄「HOTeyeフォーカス」
施設配置案:


市民連絡会声明:


5月27日の八重山毎日紙面
5月20日 八重山毎日
社説:自衛隊施設配置案を提示 防衛の空白地帯こそ平和
ミサイル弾薬庫4棟
八重山の軍事化がいっそう強まる気配だ。若宮防衛副大臣が17日、中山石垣市長を訪ね、平得大俣東の自衛隊配備計画の施設配置案を提示した。これにより自衛隊配備問題は新たな局面を迎えた。
若宮防衛副大臣の示した配置案によれば予定面積は46㌶で、そのうち市有地は約23・1㌶、残りは民有地で企業の経営するゴルフ場の施設が多くを占めている。
施設は隊庁舎3棟、覆道射場、弾薬庫4棟、給油所その他である。県道87号線に面した開南地区西側のほとんどを占める。平たんなゴルフ場には隊庁舎や車両整備場、給油所、南側には弾薬庫が開南集落近くにはグラウンドや訓練場が設置される。
4棟の弾薬庫は地対艦誘導弾(ミサイル)、地対空ミサイル(誘導弾)および警護に必要な銃弾などを保管する施設と説明している。危険極まりないミサイル基地がなぜ必要か。
市長発言のしらじらしさ
防衛省は防衛空白地帯を無くすためと説明している。空白地帯でも八重山は台湾漁船などとの小さなもめごとはあったが波は穏やかだった。尖閣諸島の領有権問題を悪化させたのは当時の石原慎太郎東京都知事であり、与那国島への配備を画策したのはケビン・メア沖縄総領事と国防総省であった。
中国脅威論を背景に自衛隊配備計画を立ち上げ、対中関係を悪化させたのは八重山郡民ではない。政府や石原元知事等である。
自衛隊配備計画はすでに市民を分断し、対立を激化させている。そんなことまでして空白地帯を埋める必要があるのか。
若宮防衛副大臣は候補地周辺の4公民館が反対していることについて「周辺公民館長を含め市民全員に理解が得られるように丁寧に進めたい」と述べた。
これまで行われてきた防衛省の説明会は懇切丁寧であったのか。市民の知りたい疑問には一切回答せず、または無視した。若宮防衛副大臣の「丁寧に進めたい」という言葉がなんとしらじらしく聞こえることか。
同じことは中山市長にも言える。自衛隊配置案を受けて「何よりも市民の議論を深めることが必要」と述べた。しかし、議論を深めるために市はどのような活動をしたのだろうか。
議論も深まらないのに昨年暮れ、配備計画を容認し、候補地周辺の4公民館との話し合いをほごにした。政治不信を招いたのは市長自身だ。
それなのに今回も「国防は(国)の専権事項なので、配備が必要という国の意向を精査した上で判断したい。防衛省には住民に細かく丁寧に説明し理解を得るよう要望したい」とも記者会見で答えている。容認発言と矛盾している。石垣市長という立場を理解していないのではないか。他人任せで地方自治や石垣市基本条例の精神に欠けているとしか思えない。
戦争と平和をかみしめる
若宮防衛副大臣が石垣市長を訪問した17日、与那国島にはハリス米太平洋軍司令官と自衛隊のトップの河野克俊統合幕僚長が陸上自衛隊与那国駐屯地を訪問したとの報道があった。
ハリス司令官は「尖閣諸島に関して日米安全保障条約第5条に基づき米軍が防衛に関与する」との姿勢を示し、その後、与那国島を訪れたもの。島内の軍事施設を視察した。
日米の軍事関係のトップが駐屯地を訪問するのは異例といわれる。再び軍事優先の波が島を襲おうとしている。戦争の記憶を平和の尊さをいま一度しっかりと考えるべきだ。

5月19日の八重山毎日紙面
5月19日 八重山毎日
「市長は民意を問え」 陸自施設配置案

開南集落の目と鼻の先に計画されている「石垣駐屯地」(赤線内)=18日午前、小型無人機で撮影
開南地区に不安と動揺
平得大俣東への陸上自衛隊配備計画をめぐり、防衛省から17日提示された「石垣駐屯地」施設配置案が目と鼻の先にある開南地区では、不安と動揺が広がっている。誘導弾を保管する弾薬庫は集落から数百㍍の距離。境界線と隣接する住宅もある。開南公民館の小林丙次館長は「誘導弾は移動式なので石垣島のどこにも持って行ける。自衛隊配備は石垣島全体の問題。市長は民意を問うべきだ」と訴える。
案は、ゴルフ場側に施設配置が計画されており、事務庁舎と隊員宿舎を兼ねた隊庁舎3棟(1万5000平方㍍)のほか、射撃訓練をコンクリートの屋内で行う覆道射撃場(約9100平方㍍)、誘導弾と小銃弾などを保管する弾薬庫4棟(計2100平方㍍)などが予定されている。
初めて配置案を目にした子育て中の20代女性は「ここには建たないと思って生活していたので…」と言葉を失った。40代の夫は「自宅から県道を挟んですぐ目の前が駐屯地になる。近すぎる。グランドにはヘリが来るのだろう。市有地は市民の財産。市長ひとりの判断ではなく、市民の意見を聞くべきだ」と語気を強めた。
パインの収穫で忙しく、新聞にも目を通せなかったという當間勝さん(56)は「来ること自体に反対だが、場所は予想通り。集落に隣接するのもあり得ない。弾薬庫は200~300㍍しか離れていないだろう。市長は国の専権事項と言うが、何十年もここに住んでいる住民は何も言う権利はないのか」と憤った。
家業を継ぐためことし1月に福岡からUターンし、生産・販路拡大を目指して農業生産法人を立ち上げたという長男(24)は「帰ってくるまでは自衛隊問題は知らなかった。急にこんな話になって…。何が起きるか怖い」と不安げ。
一方、開南近くで水稲を営む平得在の鳩間昇さん(79)は「場所がどこであっても必要だ。自分の国は自分で守るのが国際社会の根本。防衛できる規模の自衛隊を置くのは当然だ」と強調する。
予定地近くで働く女性は「今の時勢からすると自衛隊がいるから守られると思う。尖閣問題も人ごとではない。もっと地元が危機感を持たなければならない。力を持っていれば相手も攻めてこない」と容認する一方、「ただ、開南地区の人は不安に思うかもしれない。自分の庭に配備されたらと思うと…何も言えない」と複雑な心境を吐露した。


5月18日の八重山毎日紙面
5月18日 八重山毎日
陸自配備 施設配置案を提示 若宮防衛副大臣が説明

石垣駐屯地の範囲と施設配置案
弾薬庫や屋内射撃場も 市長、判断の明言避ける
平得大俣東への陸上自衛隊配備計画をめぐり、若宮健嗣防衛副大臣が17日、石垣市役所に中山義隆市長を訪ね、「石垣駐屯地」の施設配置案を提示した。防衛省によると、予定地は市有地と民有地で半々を占め、面積は計46㌶。北側に隊庁舎、弾薬庫、屋内射撃場などの施設、南側に訓練場などを配置している。今後の作業について若宮副大臣は記者団に「施設配置案を知らせたばかり。具体的なところは確定していない」と述べるにとどめた。
予定面積46㌶のうち、防衛省が地形などを調査した市有地の面積は約23.1㌶。残りの民有地の多くは北方にある民間ゴルフ施設の土地で、ゴルフ場のほとんどが入っているとみられる。
駐屯地は開南地区に近接し、県道87号側が正門となっている。初動対応を行う警備部隊、島しょ部への侵攻を洋上で阻止する地対艦誘導弾部隊、同部隊と連携して防空を担当する地対空誘導弾部隊の配備が計画されており、隊員規模は500~600人。
昨年12月26日に配備に向けた手続き開始を容認した中山市長は「具体的な案をいただいたので、庁内でも精査し、これをオープンにして市民、議会の議論を踏まえた上で判断したい」と記者団に述べた。最終判断時期については「議論の深まりをみて判断したい」と明言を避けた。
若宮副大臣は中山市長との面談で、配備手続き開始容認に謝意を示した上で「南西諸島の防衛空白の状況をできるだけ早く解消することが喫緊の課題。市有地近辺の関係者とも調整した結果、市有地と民有地を中心として部隊を配置したい」と説明、住民説明会も開催する意向を示した。
中山市長は「こういう資料がないと議論が進まないので手続きを容認した。今後、資料を精査して影響があるか調査して市の要望や質問を出したい。併せて防衛省には周辺住民、市民全体への説明会を開催してほしい」と述べた。
若宮副大臣は同日正午前の便で石垣入り。同日午後3時すぎの羽田行き直行便で戻った。市役所玄関では反対派、推進派の住民ら計約80人が急きょ集まり、のぼり旗やプラカードを手に声を上げた。
5月18日 八重山毎日
「標的の島にしないで」「安心のために配備を」

反対派と推進派ののぼり旗が乱立する中、市役所に向かう若宮健嗣防衛副大臣(中央)=17日午後、市役所玄関前
怒号、要望 市役所前騒然 市民対立 先鋭化もー陸自施設配置案提示
「標的の島にしないで」「備えあれば憂いなし」ー。石垣市役所正面玄関前には反対派、推進派の住民らそれぞれ約40人が急きょ集結、のぼりやプラカードが並んだ。若宮健嗣防衛副大臣が出入りする際、「自衛隊基地はいらない」と怒号や「よろしくお願いします」と要望の声が入り乱れ、騒然とした。施設配置案が作成され、配備に向けた手続きが前進したことで、今後さらに対立が先鋭化しそうだ。
石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会のメンバーは拡声器で声を張り上げ、上原均さんは「防衛省は中国が攻めてくるとあおって南西諸島の要塞(ようさい)化をたくらんでいる。備えあれば憂いがある。自衛隊が配備されれば火種になる。火種をつくる必要はない」と強調。
上原秀政共同代表は「戦争中、空白を埋めたとき悲惨な結果を生んだ。軍事基地があると真っ先に攻撃を受ける。火種のそばに火を置いてはならない」と訴えた。
金城哲浩共同代表も「のどかな風景がなくなる。石垣の将来にメリットはあるのか」と疑問を投げかけた。
石垣島自衛隊配備推進協議会の三木巌会長は「予定通りやってくれればいい」と淡々。国境を守る人々の会の田中勝義共同代表は「中国には国境の概念がなく、力のあるときに大きくしようと考えている。力の弱いところに手を伸ばしていく。話しあいができる相手ではない。一日も早く配備してもらいたい」と要望した。
初めて参加したという27歳の男性は「自衛隊施設がないに越したことはないが、これが通るほど世の中は甘くない。いるのといないのとではいざというときに違う。安心して暮らすためにも配備してもらいたい」と語った。


5月18日の八重山日報紙面
5月18日 琉球新報
陸自駐屯地図を初提示 防衛副大臣、石垣市長と面談

石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備について若宮健嗣防衛副大臣は17日、同市役所で中山義隆市長と面談し、駐屯地に整備予定の弾薬庫や隊舎などの設備の配置図面案を提示した。図面が示されるのは初めて。若宮副大臣は「この配備案に基づいて適宜必要な手続きを進めさせてもらいたい」と述べた。配備への理解を得るために住民説明会を開くとした一方で、配備に向けた具体的なスケジュールは示さなかった。
中山市長は「図面を基に、予定地にどのような影響があるのかなどを調査して、市側の要望・質問は出したい」と回答した。
配置案による駐屯地の面積は約46ヘクタール。市有地と民有地がほぼ半々となる。隊舎(3棟)や弾薬庫(4棟)、車両整備場(2棟)などを整備するとした。配備予定部隊は警備部隊や地対艦誘導弾部隊、地対空誘導弾部隊で、隊員規模は約500~600人。
若宮副大臣は尖閣諸島周辺海域への中国公船の領海侵入や北朝鮮の弾道ミサイル発射により南西諸島の安全保障環境の厳しさを強調。「自衛隊配備の空白状況をできるだけ早く解消するのは喫緊の課題だ」として、配備への協力を改めて求めた。
市長との面談後、若宮副大臣は空港で陸自配備に賛成する市議6人と意見交換会を持った。出席議員によると、候補地周辺住民と全市民向けの住民説明会を夏ごろまでには実施する意向を示したという。
市役所前には陸自配備反対派と賛成派それぞれ約40人が集まった。反対派は配備に向けた手続き中止を求める声明文を若宮副大臣に手渡した。賛成派は市に、早急な配備推進を求める要請書を提出した。



5月18日の琉球新報紙面

5月18日の沖縄タイムス紙面
5月18日 沖縄タイムス
石垣島への陸自配備 若宮防衛副大臣が市長に施設配置案提示 弾薬庫や屋内射撃訓練場も

石垣島の陸自部隊配備予定地
石垣市平得大俣地区への陸上自衛隊配備計画で、防衛省の若宮健嗣副大臣は17日、市役所で中山義隆市長と会談し、建設予定の駐屯地配置図を初めて提示し、具体的な施設配置案を伝えた。敷地は約46ヘクタールで、隊庁舎や弾薬庫、屋内射撃訓練施設などを配置する。若宮氏は「南西地域における自衛隊配備の空白をできるだけ早く解消するのが喫緊の課題」とし、中山市長に協力を要請。市民の理解を得るため住民説明会を開く考えを示した。
同省は、初動対応を担う警備部隊や地対空・地対艦のミサイル部隊を配備する計画で、規模は500~600人程度。配置案には、ミサイルや小銃などを保管する弾薬庫4棟、射撃訓練用の屋内施設が含まれる。
同省によると市有地は約22ヘクタール、民有地は約24ヘクタール。用地取得には測量や不動産鑑定などが必要で、昨年度予算の繰り越し分7億円を充てている。取得は来年度以降とみられる。
同省は、中山市長が昨年12月に「配備手続きを進めることを了承する」とした事実上の受け入れ表明を受け、今年2月から地権者らと調整。4月には市有地約23ヘクタールを調査していた。
中山市長は「資料を精査して配備予定地への影響などを調査し、市として要望や質問をさせてほしい」と述べるにとどめた。最終判断の時期については「明言できない」とした。
市役所には賛否双方の市民団体が詰め掛けた。反対派は配備手続きの中止などを求める声明を若宮氏に手渡し、賛成派は早期配備を求め市に要請した。

5月17日の琉球新報紙面
5月17日 琉球新報
石垣配備の陸自図面、きょう提示 敷地内に弾薬庫整備 防衛省

石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備を巡り、防衛省が17日、石垣市に建設予定の駐屯地配置図面を提示することが分かった。複数の防衛省関係者が明らかにした。面積は30ヘクタール前後としており、図面が示されるのは初めて。若宮健嗣防衛副大臣が17日、石垣市を訪れ中山義隆市長と面談し、駐屯地内の隊庁舎など施設配置を示す。施設内に弾薬庫も整備予定という。
防衛省は中山市長が昨年12月、受け入れを表明したことから図面を提示することを決定した。石垣市議会の6月定例会での議論活性化を期待するほか、計画進展が見込めれば2018年度予算の概算要求に関連経費を盛り込みたい考え。
ただ、建設に反対する市民は土地の立ち入り調査などを進めている防衛省に抗議しており、計画進展に反発が広がる可能性もある。
駐屯地建設予定は防衛省が既に候補地としている市有地とその周辺。警備部隊や地対艦ミサイル(SSM)、地対空ミサイル(SAM)を運用する部隊の庁舎や倉庫、医務室などを配置する。
石垣と同様に陸自の配備計画が進められる宮古島では候補地が2カ所から1カ所に集約されたため、駐屯地内に弾薬庫が配置されておらず、防衛省は別の用地を探している。
弾薬庫の整備について、防衛省関係者は「宮古のように分散することはなくまとめられる」として、駐屯地内に配置すると説明した。

5月17日の沖縄タイムス紙面
防衛省報道資料お知らせより:

「八重山に自衛隊はいらない」 5・15八重山地区平和行進


5月16日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
5月16日 八重山毎日
国境の島々に平和を 5・15平和行進

5・15平和行進に参加する人たち。陸自配備反対などを訴えた=15日午後、大浜
復帰45年 市内で行動アピール
本土復帰から45年目を迎えた15日、石垣市内で5・15平和行進と平和とくらしを守る八重山地区集会(同実行委員会主催)が開催され、行進に約100人、集会に約220人が参加した。平得大俣東での陸自配備手続き開始後、初めて迎える復帰記念日。先島への自衛隊配備について「沖縄が軍事基地の要塞(ようさい)になる。捨て石にされた72年前の惨烈な戦が県民の心によみがえる」として米軍と自衛隊の強化・拡大に反対する大会宣言を採択した。
行進は午後2時に白保小学校を出発、約4時間余りかけ新栄公園まで歩いた。「八重山に自衛隊はいらない」などとシュプレヒコールを上げ、「国境の島々を日本防衛の最前線にするもの。住民は常に危険にさらされる」と訴えた。配備先周辺の開拓の歴史も紹介しながら「祖父母は米軍に土地と生活を奪われ、子や孫たちは自衛隊に静かで安全な暮らしを奪われようとしている」とのメッセージも伝えた。
新栄公園で行われた集会で川本正樹実行委員長(連合沖縄八重山地域協議会議長)は憲法改正や「共謀罪」に危機感を示し、「平和な沖縄、平和な日本実現のため今後も行動を続けていくことを確認したい」とあいさつ。
本島での平和行進の実行委員長を務めた山城博治沖縄平和運動センター議長は陸自配備について「全島を要塞化し、戦争を持ち込もうとしている。ここは私たちの島だ。生活をしている島だ。絶対許されない」と声を張り上げ、次呂久成崇県議も「住民の専権事項は、安心安全な日常生活を守ること。攻められるという不安を感じる生活や社会を子や孫に残してはいけない」と強調した。

5月16日の沖縄タイムス紙面
5月15日 八重山毎日
社説:石垣は軍事基地になるのか 本土復帰45年、重大な岐路に
八重山に1兆円余投入
きょう15日は沖縄が日本本土に復帰して45年の節目だ。米軍基地の重圧に苦しむ沖縄は「基地のない平和な島」を求め、八重山も毎年平和行進と集会が行われるが、国の不条理な差別は逆にひどくなるばかりだ。復帰45年を本紙の節目の社説で振り返ってみたい。
まず1982年5月15日の復帰10年。変わらぬ基地の重圧、石油ショックによる物価高、78年の730交通方法変更、本土企業に流れる“ザル経済”の国の公共事業などを指摘し、「本土並みはいつか」の社説を掲げた。
さらに注目は当時、「復帰して良かった」が63%しかなかったことだ。45年の現在は80%余が評価しているが、「基地集中は差別」も過半数いて依然反発は強い。安倍首相、菅官房長官は沖縄の歴史にしっかり向き合い、口先でなく行動で県民に寄り添うべきだ。
復帰20年は高率補助の沖縄振興計画を取り上げ、本土とのより一層の格差是正を求めた。同振興計画で八重山は第5次の現在までの40年余で1兆円余が投入され、新石垣空港をはじめ離島の黒糖工場がすべて新築され、社会基盤は格段に整備された。その結果復帰の評価も70%余に増えた。
軍事基地は無縁と思ったが
復帰30年は、政府の基地負担強化と振興策の「アメとムチ」政策を批判。35年は離島ブームによる観光客の増と移住者増を取り上げ、社説は「八重山らしさの喪失」に危機感を訴えている。それが県内初の「風景計画」策定につながったが、再びそのブームが訪れ、開発優先の石垣市は危機にある。
復帰40年は、沖縄21世紀ビジョンの下で、画期的な離島航空運賃割引制度など充実してきた離島振興策を取り上げ、さらなる振興策を求めた。
そして復帰42年の社説では、与那国に続いて石垣にも自衛隊配備計画があるとして、「42年前の復帰当時、離島の八重山は米軍基地や自衛隊とも無縁と思っていたのが」と「基地は観光産業にマイナス」と初めて自衛隊が登場、43年は市長は国の専権事項なら何でも従うのかとその姿勢を批判している。
子牛は14万円から72万円に
復帰45年を迎えた八重山観光は13年の新空港開港以降快調に推移、その好調な経済を反映して有効求人倍率は1.57倍で復帰後最高を記録した。さらに八重山農業の中核になった肉用牛も復帰当時1頭当たりわずか14万円が昨年は平均で72万円に5倍余になった。
このように観光客でにぎわう平和な島にあろうことか軍靴の足音が迫ってきたのだ。市長ら自衛隊配備推進派は沖縄本島もハワイも基地があるのに観光でにぎわっており、基地は関係ないというが、それは平時だからだ。
2001年の米同時テロでは風評被害で八重山も修学旅行が激減したし、それが戦争となれば基地があるところが攻撃を受けるのは自明であり、ミサイル基地の宮古、石垣が攻撃を受ける恐れは十分だ。まして自衛隊は世界の戦争に参戦できる軍隊に変質したことで報復テロも否定できない。
島を危険に陥れる軍事基地化や沖縄の軍事要塞(ようさい)化に、心ある人々はノーを突きつけるべきだろう。5年後の復帰50年、「石垣に軍事基地ができた」と新聞をにぎわせたくない。

5月8日の八重山毎日紙面
関連記事:石垣島への陸自配備計画、4月14日早朝沖縄防衛局市有地で現地調査を開始。
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/blog-entry-350.html
5月17日のNHK沖縄「HOTeyeフォーカス」
施設配置案:


市民連絡会声明:


5月27日の八重山毎日紙面
5月20日 八重山毎日
社説:自衛隊施設配置案を提示 防衛の空白地帯こそ平和
ミサイル弾薬庫4棟
八重山の軍事化がいっそう強まる気配だ。若宮防衛副大臣が17日、中山石垣市長を訪ね、平得大俣東の自衛隊配備計画の施設配置案を提示した。これにより自衛隊配備問題は新たな局面を迎えた。
若宮防衛副大臣の示した配置案によれば予定面積は46㌶で、そのうち市有地は約23・1㌶、残りは民有地で企業の経営するゴルフ場の施設が多くを占めている。
施設は隊庁舎3棟、覆道射場、弾薬庫4棟、給油所その他である。県道87号線に面した開南地区西側のほとんどを占める。平たんなゴルフ場には隊庁舎や車両整備場、給油所、南側には弾薬庫が開南集落近くにはグラウンドや訓練場が設置される。
4棟の弾薬庫は地対艦誘導弾(ミサイル)、地対空ミサイル(誘導弾)および警護に必要な銃弾などを保管する施設と説明している。危険極まりないミサイル基地がなぜ必要か。
市長発言のしらじらしさ
防衛省は防衛空白地帯を無くすためと説明している。空白地帯でも八重山は台湾漁船などとの小さなもめごとはあったが波は穏やかだった。尖閣諸島の領有権問題を悪化させたのは当時の石原慎太郎東京都知事であり、与那国島への配備を画策したのはケビン・メア沖縄総領事と国防総省であった。
中国脅威論を背景に自衛隊配備計画を立ち上げ、対中関係を悪化させたのは八重山郡民ではない。政府や石原元知事等である。
自衛隊配備計画はすでに市民を分断し、対立を激化させている。そんなことまでして空白地帯を埋める必要があるのか。
若宮防衛副大臣は候補地周辺の4公民館が反対していることについて「周辺公民館長を含め市民全員に理解が得られるように丁寧に進めたい」と述べた。
これまで行われてきた防衛省の説明会は懇切丁寧であったのか。市民の知りたい疑問には一切回答せず、または無視した。若宮防衛副大臣の「丁寧に進めたい」という言葉がなんとしらじらしく聞こえることか。
同じことは中山市長にも言える。自衛隊配置案を受けて「何よりも市民の議論を深めることが必要」と述べた。しかし、議論を深めるために市はどのような活動をしたのだろうか。
議論も深まらないのに昨年暮れ、配備計画を容認し、候補地周辺の4公民館との話し合いをほごにした。政治不信を招いたのは市長自身だ。
それなのに今回も「国防は(国)の専権事項なので、配備が必要という国の意向を精査した上で判断したい。防衛省には住民に細かく丁寧に説明し理解を得るよう要望したい」とも記者会見で答えている。容認発言と矛盾している。石垣市長という立場を理解していないのではないか。他人任せで地方自治や石垣市基本条例の精神に欠けているとしか思えない。
戦争と平和をかみしめる
若宮防衛副大臣が石垣市長を訪問した17日、与那国島にはハリス米太平洋軍司令官と自衛隊のトップの河野克俊統合幕僚長が陸上自衛隊与那国駐屯地を訪問したとの報道があった。
ハリス司令官は「尖閣諸島に関して日米安全保障条約第5条に基づき米軍が防衛に関与する」との姿勢を示し、その後、与那国島を訪れたもの。島内の軍事施設を視察した。
日米の軍事関係のトップが駐屯地を訪問するのは異例といわれる。再び軍事優先の波が島を襲おうとしている。戦争の記憶を平和の尊さをいま一度しっかりと考えるべきだ。

5月19日の八重山毎日紙面
5月19日 八重山毎日
「市長は民意を問え」 陸自施設配置案

開南集落の目と鼻の先に計画されている「石垣駐屯地」(赤線内)=18日午前、小型無人機で撮影
開南地区に不安と動揺
平得大俣東への陸上自衛隊配備計画をめぐり、防衛省から17日提示された「石垣駐屯地」施設配置案が目と鼻の先にある開南地区では、不安と動揺が広がっている。誘導弾を保管する弾薬庫は集落から数百㍍の距離。境界線と隣接する住宅もある。開南公民館の小林丙次館長は「誘導弾は移動式なので石垣島のどこにも持って行ける。自衛隊配備は石垣島全体の問題。市長は民意を問うべきだ」と訴える。
案は、ゴルフ場側に施設配置が計画されており、事務庁舎と隊員宿舎を兼ねた隊庁舎3棟(1万5000平方㍍)のほか、射撃訓練をコンクリートの屋内で行う覆道射撃場(約9100平方㍍)、誘導弾と小銃弾などを保管する弾薬庫4棟(計2100平方㍍)などが予定されている。
初めて配置案を目にした子育て中の20代女性は「ここには建たないと思って生活していたので…」と言葉を失った。40代の夫は「自宅から県道を挟んですぐ目の前が駐屯地になる。近すぎる。グランドにはヘリが来るのだろう。市有地は市民の財産。市長ひとりの判断ではなく、市民の意見を聞くべきだ」と語気を強めた。
パインの収穫で忙しく、新聞にも目を通せなかったという當間勝さん(56)は「来ること自体に反対だが、場所は予想通り。集落に隣接するのもあり得ない。弾薬庫は200~300㍍しか離れていないだろう。市長は国の専権事項と言うが、何十年もここに住んでいる住民は何も言う権利はないのか」と憤った。
家業を継ぐためことし1月に福岡からUターンし、生産・販路拡大を目指して農業生産法人を立ち上げたという長男(24)は「帰ってくるまでは自衛隊問題は知らなかった。急にこんな話になって…。何が起きるか怖い」と不安げ。
一方、開南近くで水稲を営む平得在の鳩間昇さん(79)は「場所がどこであっても必要だ。自分の国は自分で守るのが国際社会の根本。防衛できる規模の自衛隊を置くのは当然だ」と強調する。
予定地近くで働く女性は「今の時勢からすると自衛隊がいるから守られると思う。尖閣問題も人ごとではない。もっと地元が危機感を持たなければならない。力を持っていれば相手も攻めてこない」と容認する一方、「ただ、開南地区の人は不安に思うかもしれない。自分の庭に配備されたらと思うと…何も言えない」と複雑な心境を吐露した。


5月18日の八重山毎日紙面
5月18日 八重山毎日
陸自配備 施設配置案を提示 若宮防衛副大臣が説明

石垣駐屯地の範囲と施設配置案
弾薬庫や屋内射撃場も 市長、判断の明言避ける
平得大俣東への陸上自衛隊配備計画をめぐり、若宮健嗣防衛副大臣が17日、石垣市役所に中山義隆市長を訪ね、「石垣駐屯地」の施設配置案を提示した。防衛省によると、予定地は市有地と民有地で半々を占め、面積は計46㌶。北側に隊庁舎、弾薬庫、屋内射撃場などの施設、南側に訓練場などを配置している。今後の作業について若宮副大臣は記者団に「施設配置案を知らせたばかり。具体的なところは確定していない」と述べるにとどめた。
予定面積46㌶のうち、防衛省が地形などを調査した市有地の面積は約23.1㌶。残りの民有地の多くは北方にある民間ゴルフ施設の土地で、ゴルフ場のほとんどが入っているとみられる。
駐屯地は開南地区に近接し、県道87号側が正門となっている。初動対応を行う警備部隊、島しょ部への侵攻を洋上で阻止する地対艦誘導弾部隊、同部隊と連携して防空を担当する地対空誘導弾部隊の配備が計画されており、隊員規模は500~600人。
昨年12月26日に配備に向けた手続き開始を容認した中山市長は「具体的な案をいただいたので、庁内でも精査し、これをオープンにして市民、議会の議論を踏まえた上で判断したい」と記者団に述べた。最終判断時期については「議論の深まりをみて判断したい」と明言を避けた。
若宮副大臣は中山市長との面談で、配備手続き開始容認に謝意を示した上で「南西諸島の防衛空白の状況をできるだけ早く解消することが喫緊の課題。市有地近辺の関係者とも調整した結果、市有地と民有地を中心として部隊を配置したい」と説明、住民説明会も開催する意向を示した。
中山市長は「こういう資料がないと議論が進まないので手続きを容認した。今後、資料を精査して影響があるか調査して市の要望や質問を出したい。併せて防衛省には周辺住民、市民全体への説明会を開催してほしい」と述べた。
若宮副大臣は同日正午前の便で石垣入り。同日午後3時すぎの羽田行き直行便で戻った。市役所玄関では反対派、推進派の住民ら計約80人が急きょ集まり、のぼり旗やプラカードを手に声を上げた。
5月18日 八重山毎日
「標的の島にしないで」「安心のために配備を」

反対派と推進派ののぼり旗が乱立する中、市役所に向かう若宮健嗣防衛副大臣(中央)=17日午後、市役所玄関前
怒号、要望 市役所前騒然 市民対立 先鋭化もー陸自施設配置案提示
「標的の島にしないで」「備えあれば憂いなし」ー。石垣市役所正面玄関前には反対派、推進派の住民らそれぞれ約40人が急きょ集結、のぼりやプラカードが並んだ。若宮健嗣防衛副大臣が出入りする際、「自衛隊基地はいらない」と怒号や「よろしくお願いします」と要望の声が入り乱れ、騒然とした。施設配置案が作成され、配備に向けた手続きが前進したことで、今後さらに対立が先鋭化しそうだ。
石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会のメンバーは拡声器で声を張り上げ、上原均さんは「防衛省は中国が攻めてくるとあおって南西諸島の要塞(ようさい)化をたくらんでいる。備えあれば憂いがある。自衛隊が配備されれば火種になる。火種をつくる必要はない」と強調。
上原秀政共同代表は「戦争中、空白を埋めたとき悲惨な結果を生んだ。軍事基地があると真っ先に攻撃を受ける。火種のそばに火を置いてはならない」と訴えた。
金城哲浩共同代表も「のどかな風景がなくなる。石垣の将来にメリットはあるのか」と疑問を投げかけた。
石垣島自衛隊配備推進協議会の三木巌会長は「予定通りやってくれればいい」と淡々。国境を守る人々の会の田中勝義共同代表は「中国には国境の概念がなく、力のあるときに大きくしようと考えている。力の弱いところに手を伸ばしていく。話しあいができる相手ではない。一日も早く配備してもらいたい」と要望した。
初めて参加したという27歳の男性は「自衛隊施設がないに越したことはないが、これが通るほど世の中は甘くない。いるのといないのとではいざというときに違う。安心して暮らすためにも配備してもらいたい」と語った。


5月18日の八重山日報紙面
5月18日 琉球新報
陸自駐屯地図を初提示 防衛副大臣、石垣市長と面談

石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備について若宮健嗣防衛副大臣は17日、同市役所で中山義隆市長と面談し、駐屯地に整備予定の弾薬庫や隊舎などの設備の配置図面案を提示した。図面が示されるのは初めて。若宮副大臣は「この配備案に基づいて適宜必要な手続きを進めさせてもらいたい」と述べた。配備への理解を得るために住民説明会を開くとした一方で、配備に向けた具体的なスケジュールは示さなかった。
中山市長は「図面を基に、予定地にどのような影響があるのかなどを調査して、市側の要望・質問は出したい」と回答した。
配置案による駐屯地の面積は約46ヘクタール。市有地と民有地がほぼ半々となる。隊舎(3棟)や弾薬庫(4棟)、車両整備場(2棟)などを整備するとした。配備予定部隊は警備部隊や地対艦誘導弾部隊、地対空誘導弾部隊で、隊員規模は約500~600人。
若宮副大臣は尖閣諸島周辺海域への中国公船の領海侵入や北朝鮮の弾道ミサイル発射により南西諸島の安全保障環境の厳しさを強調。「自衛隊配備の空白状況をできるだけ早く解消するのは喫緊の課題だ」として、配備への協力を改めて求めた。
市長との面談後、若宮副大臣は空港で陸自配備に賛成する市議6人と意見交換会を持った。出席議員によると、候補地周辺住民と全市民向けの住民説明会を夏ごろまでには実施する意向を示したという。
市役所前には陸自配備反対派と賛成派それぞれ約40人が集まった。反対派は配備に向けた手続き中止を求める声明文を若宮副大臣に手渡した。賛成派は市に、早急な配備推進を求める要請書を提出した。



5月18日の琉球新報紙面

5月18日の沖縄タイムス紙面
5月18日 沖縄タイムス
石垣島への陸自配備 若宮防衛副大臣が市長に施設配置案提示 弾薬庫や屋内射撃訓練場も

石垣島の陸自部隊配備予定地
石垣市平得大俣地区への陸上自衛隊配備計画で、防衛省の若宮健嗣副大臣は17日、市役所で中山義隆市長と会談し、建設予定の駐屯地配置図を初めて提示し、具体的な施設配置案を伝えた。敷地は約46ヘクタールで、隊庁舎や弾薬庫、屋内射撃訓練施設などを配置する。若宮氏は「南西地域における自衛隊配備の空白をできるだけ早く解消するのが喫緊の課題」とし、中山市長に協力を要請。市民の理解を得るため住民説明会を開く考えを示した。
同省は、初動対応を担う警備部隊や地対空・地対艦のミサイル部隊を配備する計画で、規模は500~600人程度。配置案には、ミサイルや小銃などを保管する弾薬庫4棟、射撃訓練用の屋内施設が含まれる。
同省によると市有地は約22ヘクタール、民有地は約24ヘクタール。用地取得には測量や不動産鑑定などが必要で、昨年度予算の繰り越し分7億円を充てている。取得は来年度以降とみられる。
同省は、中山市長が昨年12月に「配備手続きを進めることを了承する」とした事実上の受け入れ表明を受け、今年2月から地権者らと調整。4月には市有地約23ヘクタールを調査していた。
中山市長は「資料を精査して配備予定地への影響などを調査し、市として要望や質問をさせてほしい」と述べるにとどめた。最終判断の時期については「明言できない」とした。
市役所には賛否双方の市民団体が詰め掛けた。反対派は配備手続きの中止などを求める声明を若宮氏に手渡し、賛成派は早期配備を求め市に要請した。

5月17日の琉球新報紙面
5月17日 琉球新報
石垣配備の陸自図面、きょう提示 敷地内に弾薬庫整備 防衛省

石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備を巡り、防衛省が17日、石垣市に建設予定の駐屯地配置図面を提示することが分かった。複数の防衛省関係者が明らかにした。面積は30ヘクタール前後としており、図面が示されるのは初めて。若宮健嗣防衛副大臣が17日、石垣市を訪れ中山義隆市長と面談し、駐屯地内の隊庁舎など施設配置を示す。施設内に弾薬庫も整備予定という。
防衛省は中山市長が昨年12月、受け入れを表明したことから図面を提示することを決定した。石垣市議会の6月定例会での議論活性化を期待するほか、計画進展が見込めれば2018年度予算の概算要求に関連経費を盛り込みたい考え。
ただ、建設に反対する市民は土地の立ち入り調査などを進めている防衛省に抗議しており、計画進展に反発が広がる可能性もある。
駐屯地建設予定は防衛省が既に候補地としている市有地とその周辺。警備部隊や地対艦ミサイル(SSM)、地対空ミサイル(SAM)を運用する部隊の庁舎や倉庫、医務室などを配置する。
石垣と同様に陸自の配備計画が進められる宮古島では候補地が2カ所から1カ所に集約されたため、駐屯地内に弾薬庫が配置されておらず、防衛省は別の用地を探している。
弾薬庫の整備について、防衛省関係者は「宮古のように分散することはなくまとめられる」として、駐屯地内に配置すると説明した。

5月17日の沖縄タイムス紙面
防衛省報道資料お知らせより:

「八重山に自衛隊はいらない」 5・15八重山地区平和行進


5月16日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
5月16日 八重山毎日
国境の島々に平和を 5・15平和行進

5・15平和行進に参加する人たち。陸自配備反対などを訴えた=15日午後、大浜
復帰45年 市内で行動アピール
本土復帰から45年目を迎えた15日、石垣市内で5・15平和行進と平和とくらしを守る八重山地区集会(同実行委員会主催)が開催され、行進に約100人、集会に約220人が参加した。平得大俣東での陸自配備手続き開始後、初めて迎える復帰記念日。先島への自衛隊配備について「沖縄が軍事基地の要塞(ようさい)になる。捨て石にされた72年前の惨烈な戦が県民の心によみがえる」として米軍と自衛隊の強化・拡大に反対する大会宣言を採択した。
行進は午後2時に白保小学校を出発、約4時間余りかけ新栄公園まで歩いた。「八重山に自衛隊はいらない」などとシュプレヒコールを上げ、「国境の島々を日本防衛の最前線にするもの。住民は常に危険にさらされる」と訴えた。配備先周辺の開拓の歴史も紹介しながら「祖父母は米軍に土地と生活を奪われ、子や孫たちは自衛隊に静かで安全な暮らしを奪われようとしている」とのメッセージも伝えた。
新栄公園で行われた集会で川本正樹実行委員長(連合沖縄八重山地域協議会議長)は憲法改正や「共謀罪」に危機感を示し、「平和な沖縄、平和な日本実現のため今後も行動を続けていくことを確認したい」とあいさつ。
本島での平和行進の実行委員長を務めた山城博治沖縄平和運動センター議長は陸自配備について「全島を要塞化し、戦争を持ち込もうとしている。ここは私たちの島だ。生活をしている島だ。絶対許されない」と声を張り上げ、次呂久成崇県議も「住民の専権事項は、安心安全な日常生活を守ること。攻められるという不安を感じる生活や社会を子や孫に残してはいけない」と強調した。

5月16日の沖縄タイムス紙面
5月15日 八重山毎日
社説:石垣は軍事基地になるのか 本土復帰45年、重大な岐路に
八重山に1兆円余投入
きょう15日は沖縄が日本本土に復帰して45年の節目だ。米軍基地の重圧に苦しむ沖縄は「基地のない平和な島」を求め、八重山も毎年平和行進と集会が行われるが、国の不条理な差別は逆にひどくなるばかりだ。復帰45年を本紙の節目の社説で振り返ってみたい。
まず1982年5月15日の復帰10年。変わらぬ基地の重圧、石油ショックによる物価高、78年の730交通方法変更、本土企業に流れる“ザル経済”の国の公共事業などを指摘し、「本土並みはいつか」の社説を掲げた。
さらに注目は当時、「復帰して良かった」が63%しかなかったことだ。45年の現在は80%余が評価しているが、「基地集中は差別」も過半数いて依然反発は強い。安倍首相、菅官房長官は沖縄の歴史にしっかり向き合い、口先でなく行動で県民に寄り添うべきだ。
復帰20年は高率補助の沖縄振興計画を取り上げ、本土とのより一層の格差是正を求めた。同振興計画で八重山は第5次の現在までの40年余で1兆円余が投入され、新石垣空港をはじめ離島の黒糖工場がすべて新築され、社会基盤は格段に整備された。その結果復帰の評価も70%余に増えた。
軍事基地は無縁と思ったが
復帰30年は、政府の基地負担強化と振興策の「アメとムチ」政策を批判。35年は離島ブームによる観光客の増と移住者増を取り上げ、社説は「八重山らしさの喪失」に危機感を訴えている。それが県内初の「風景計画」策定につながったが、再びそのブームが訪れ、開発優先の石垣市は危機にある。
復帰40年は、沖縄21世紀ビジョンの下で、画期的な離島航空運賃割引制度など充実してきた離島振興策を取り上げ、さらなる振興策を求めた。
そして復帰42年の社説では、与那国に続いて石垣にも自衛隊配備計画があるとして、「42年前の復帰当時、離島の八重山は米軍基地や自衛隊とも無縁と思っていたのが」と「基地は観光産業にマイナス」と初めて自衛隊が登場、43年は市長は国の専権事項なら何でも従うのかとその姿勢を批判している。
子牛は14万円から72万円に
復帰45年を迎えた八重山観光は13年の新空港開港以降快調に推移、その好調な経済を反映して有効求人倍率は1.57倍で復帰後最高を記録した。さらに八重山農業の中核になった肉用牛も復帰当時1頭当たりわずか14万円が昨年は平均で72万円に5倍余になった。
このように観光客でにぎわう平和な島にあろうことか軍靴の足音が迫ってきたのだ。市長ら自衛隊配備推進派は沖縄本島もハワイも基地があるのに観光でにぎわっており、基地は関係ないというが、それは平時だからだ。
2001年の米同時テロでは風評被害で八重山も修学旅行が激減したし、それが戦争となれば基地があるところが攻撃を受けるのは自明であり、ミサイル基地の宮古、石垣が攻撃を受ける恐れは十分だ。まして自衛隊は世界の戦争に参戦できる軍隊に変質したことで報復テロも否定できない。
島を危険に陥れる軍事基地化や沖縄の軍事要塞(ようさい)化に、心ある人々はノーを突きつけるべきだろう。5年後の復帰50年、「石垣に軍事基地ができた」と新聞をにぎわせたくない。

5月8日の八重山毎日紙面
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