陸自駐屯地が出来た奄美大島に米軍機が昼夜問わず飛来、市街地上空での低空飛行が増加。
- 2021/10/29
- 13:15
Ryukyuheiwaより:
関連記事:全国各地の陸自部隊のみならず米軍までもやって来る!陸自駐屯地が出来た奄美大島。
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/blog-entry-779.html
10月29日 南日本新聞
敵基地攻撃能力、抑止か軍拡か 南西防衛最前線の奄美大島「現実感ない」 衆院選鹿児島

陸上自衛隊の瀬戸内分屯地に配備されている12式地対艦誘導弾(左)=4月、奄美市名瀬

12式地対艦誘導弾の長射程化イメージ図
中国が海洋進出を強めるなど日本周辺の安全保障環境が大きく変わる中、衆院選で安保論戦が深まらない。中国の抑止に向け、最前線となる奄美大島の陸上自衛隊に、相手領域内で日本への攻撃を阻止する「敵基地攻撃」に転用できる長射程化ミサイルの配備を求める声もあるが、地元では「現実感がない」との声が多い。憲法に基づく専守防衛にかかわる重要な問題だけに、専門家は「政治が判断材料を示すべきだ」と指摘する。
選挙戦真っただ中の22日から23日、中国とロシアの海軍艦艇計10隻が大隅半島と種子島の間の大隅海峡を通過した。18日には津軽海峡を抜け太平洋を南下しており、日本列島をほぼ一周した格好だ。
自衛隊の統合幕僚長を務めた河野克俊氏は「威嚇にも近い異例の行動。日米豪印に加え、米英豪で新たに連携する安保枠組みをけん制し、海洋進出の姿勢を崩さないことを示した」とみる。瀬戸内分屯地(瀬戸内町)や沖縄に配備されている12式地対艦誘導弾の長射程化が持論だ。
防衛省は本年度から開発に着手。5年かけて地上のほか、艦艇や戦闘機から発射できる運用も目指す。射程を現行の百数十キロから900キロ以上へ延ばす計画とされ、瀬戸内に配備された場合、上海や台湾が射程に入る。
河野氏は「自衛のため、相手の射程圏外から攻撃する『スタンド・オフ』能力は重要。中国艦艇の行動を抑制できる」と強調する。
一方、軍事評論家の前田哲男氏は奄美での長射程化について「相手の領域内で拠点をたたく敵基地攻撃が可能。能力の保有そのものだ」と批判。「抑止というが、軍拡競争に陥るだけ。専守防衛という国民合意を、議論もなしに逸脱し始めている」と警鐘を鳴らす。
地元の反応は冷ややかだ。瀬戸内建設業協会の伊東一宏会長(62)は「安保の最前線と言われても現実感がない」と首をひねる。
実感するのはむしろ経済効果だ。2016年4月から21年9月までに九州防衛局熊本支局が発注した奄美駐屯地(奄美市)と瀬戸内分屯地の建設関係費は計629億円。うち奄美市、瀬戸内町の延べ58社が147億円分を契約した。「5年前に比べ受注額は1.5倍に増え、人手が足りないぐらい」
元瀬戸内町議で基地整備に反対する平岡和治さん(87)=西阿室=は、攻撃能力を持てば“標的”にもなり得るとして「何発もミサイルを撃ち込まれたら守り切れない。もっとリスクを考えて」と警戒感を示す。
敵基地攻撃を巡り、自民は前向き、立憲民主が慎重姿勢、共産は絶対反対と各党のスタンスはさまざまだ。河野、前田両氏も主張こそ違うとはいえ、外交による平和的解決という出口戦略では一致する。「暮らしの基盤そのものの安保環境が厳しさを増す中、選挙戦の今こそ政治家から問題提起があってしかるべきだ」と訴える。
許せない!自衛隊に加え、米軍までが奄美で「やりたい放題」
6月19日 南海日日
米軍機、昼夜問わず飛来 奄美大島、情報相次ぐ

奄美市名瀬上空を飛ぶ米軍普天間飛行場所属のオスプレイとみられる機体=6月11日午後5時半ごろ
奄美市で、米軍機とみられる軍用機の低空飛行情報が増加傾向にある。6月は17日現在で12件。午後10時すぎの確認情報もあり、奄美大島上空を昼夜問わず米軍機が飛行している可能性がある。本土と沖縄県の米軍基地間を移動する際にも島上空を通過するとみられるが、専門家は「米海兵隊の低空飛行訓練が継続している可能がある」と指摘している。
同市総務課危機管理室によると、市街地上空や低空での飛行、それに伴う騒音に関する住民からの情報提供・苦情は、4月が5件、5月が10件。6月17日現在で累計27件となり、前年同時期(3件)を大幅に上回っている。
このうち、確認された時間帯が午後9時以降の情報が6件あった。最も遅かったのは6月3日午後10時半で、名瀬小湊の住民が4日、情報を寄せた。
苦情の内容は「昼夜問わず、住宅地などの真上をだいぶ低く飛んでいる」「ジェット音の『ゴオー』という音がうるさい」など。
目撃情報などから、奄美大島上空を通過する機体はオスプレイやC―130などの輸送機が大半とみられる。6月4日にはオスプレイが4機、同11日には3機が編隊を組むようにして名瀬市街地周辺を飛ぶ様子が確認された。
11日に名瀬長浜町の南海日日新聞社から撮影した3機のうち1機は、機体番号などから沖縄県の普天間飛行場所属のMV―22オスプレイとみられる。
2016年12月に同飛行場所属のオスプレイが沖縄県名護市沖の浅瀬に不時着し大破した事故の調査報告書などから、米海兵隊の奄美大島上空での低空飛行訓練実施を突き止めた市民団体リムピースの頼(らい)和太郎編集長は「当時との飛行ルートの違いは不明だが、米軍機による奄美大島上空での低空飛行訓練が、現在も継続して行われている可能性がある」と指摘した。
米軍機の奄美大島上空の飛行をめぐっては、市民団体「戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット」(城村典文代表)も独自に目撃情報を収集。4、5月の2カ月間で計73件確認されたという。
城村代表は「事故率が高いとされるオスプレイなどの米軍機が、市街地上空を怖いくらいの低空で飛行している。市は市民の安全安心を守る立場として、米軍に対してより強い抗議や、市街地上空の飛行禁止を宣言すべき」と主張した。
同市では軍用機の低空飛行などに関する住民からの情報提供を求めている。情報は県危機管理課を通じて九州防衛局などの関係機関に伝達。米軍機と判明した際は同防衛局を通じて米軍側に内容を伝え「住民生活への影響を最小限にとどめるよう求めている」という。
6月18日 NHK 鹿児島 NEWS WEB
奄美の空に異変 急増する米軍機
最近、奄美大島で、アメリカ軍の軍用機の目撃情報があとを絶ちません。事前に何の知らせもなく、軍用機が突然、飛来する状況が続き、市民の間では不安が広がっています。奄美の空で今、何が起きているのでしょうか。(取材・奄美支局 高橋太一記者)
奄美で急増アメリカ軍機の飛来
山の上を連なって飛ぶ輸送機や、集落上空を縦横無尽に飛び交うオスプレイ・・・。
奄美大島の上空では、最近、アメリカ軍の軍用機の目撃情報が相次いでいます。
住民からは、「最近頻繁になっている。地響きのようなすごい音がするのでびっくりする」という声や「墜落するのではないかとひやひやした」などといった声が聞かれ、不安が募っています。
奄美市役所には、住民から寄せられた目撃情報が記録されています。
通報件数は年々増加し、今年度に入ってからはすでに27件。
3か月足らずで昨年度1年間の23件をすでに超えました。
市街地上空での低空飛行が増加
奄美市で市民グループの代表を務める、城村典文さんは、島内各地に住む知人たちとともに軍用機の目撃情報を収集し県を通して防衛省の出先機関に報告しています。
機体の識別番号などから、奄美上空を飛ぶ機体は、多くが沖縄のアメリカ軍基地に所属するものだと分かっています。
4年間、奄美でアメリカ軍の機体を見続けてきた城村さんは、最近、飛来の増加とともに、ある変化が起きていると感じています。
それは、アメリカ軍機が市街地上空を低空で飛ぶようになったことです。
城村さんは、「学校の上、病院の上、幼稚園の上を低空で飛んでいる。墜落したら大惨事だ」と話していました。
アメリカ軍の飛行ルートはあるのか
奄美大島の市街地上空にアメリカ軍の飛行ルートができているのではないか。
そう思った私たちはまず、目撃情報が最も多い海兵隊の輸送機・オスプレイについて、アメリカ軍が公表している資料を確認しました。
アメリカ海兵隊が、2012年に公表した資料にはオスプレイは全国各地に設定されたルートで訓練を行うことが明記されていて、奄美大島にもそのルートの1つがあります。
地図上では島の西の端をかすめる形で線が引かれているものの、市街地や東側を通過するようには設定されていないように見えます。
実態を知ろうと、奄美上空の飛行について、オスプレイを運用するアメリカ海兵隊に問い合わせましたが、回答は「決められたコース内を飛行している」というものでした。
しかし、市街地の住民に話を聞くと、海兵隊の回答とは異なる状況が浮かび上がります。
市街地上空を低空で飛行していくのは日常茶飯事だと証言する住民が多く現れたのです。
奄美市の市街地にあるガソリンスタンドの従業員は、「多いときは週に3回くらいオスプレイが飛んでいるのを見る。飛行機の形が分かるくらい低く飛んでいる。小学校や中学校の上空を飛んでいるので危ないと思う」と話していました。
国・自治体の対応は
アメリカ軍機の飛行が市街地や、集落上空で増えていますが、地元の自治体単独で具体的に対応するのは難しいのが実情です。
先月、城村さんたちは奄美市に対して、「アメリカ軍機が市街地上空を飛ばないよう市が求めてほしい」とする要請書を提出しましたが、市は「引き続き関係機関と連携して対処したい」と返答しました。
アメリカ軍と直接やりとりする立場にある防衛省はNHKの取材に対し、個々の訓練の場所や内容などの詳細については、「承知していない」とした上で、「引き続き、アメリカ側に対し、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう求めていきたい」としています。
軍用機を運用する当事者、在日アメリカ軍の司令部に直接見解を尋ねましたが、得られた回答は「安全保障上の理由から運用にかかわる詳細については答えられない」、「すべての航空機の運用は日米間の合意や規定に従って行われている」というもの。
実態を明らかにすることはできませんでした。
専門家「地位協定の趣旨にも反する」
この問題について、長年、日米の安全保障と向き合ってきた軍事評論家の前田哲男さんは、「日米地位協定第5条は基地間を移動する権利を認めている。本来それは基地に出入りする権利に限定されていたが、アメリカ軍は移動の途中で低空訓練を行ってもいいという拡大解釈をしてきた。これは日米地位協定、安全保障条約の精神から明らかに逸脱しているが、日本政府はそれを認めている。こうした状況を変えていくことが必要だ」と指摘しています。
アメリカ軍基地とは関係が薄いと思われてきた奄美大島。
明確な説明や対応がないまま、軍用機が住民の生活の真上を飛び続ける状態が続いています。
解説:
(在日米軍「増加していない」)
そもそも、なぜ奄美大島上空へのアメリカ軍機の飛来が増えているのか。
アメリカ海兵隊に理由を尋ねましたが、アメリカ海兵隊は「奄美大島上空での飛行は増えていない」と回答しました。
しかし、これは奄美市の通報記録や、住民が感じている実態とは異なるもので、謎は深まるばかりです。
軍事評論家の前田哲男さんは、増加の理由ははっきりしないとした上で、アメリカ軍の軍用機が市街地を低空で飛行する目的について「オスプレイなどは敵のレーダーに映らないよう、山あいの地形に沿って飛行し、その後、市街地を目標に見立て、急降下する訓練を行っている可能性がある」と指摘しています。
(低空飛行は日本全国で問題に)
アメリカ軍機の低空飛行は、アメリカ軍基地が集中する沖縄に限らず、全国的に問題になっています。
全国知事会は2年前、防衛省に対して、訓練の時期やルートを事前に知らせることなどを求める提言を行いました。
しかし、最近では、四国や北海道などでも低空飛行の目撃情報が相次いでいるほか、奄美などの現状を考えると、実現にはほど遠い状況です。
(米軍機は航空法の適用を免除)
事態の改善には、大きな壁が存在します。
アメリカ軍の軍用機は、日米地位協定に伴う特例法で日本の航空法の適用を広く免除されているからです。
航空法が定める「最低安全高度」は人口密集地では周辺600メートルの最も高い障害物から300メートル、それ以外の地域では150メートルですが、アメリカ軍にはこの法律は適用されません。
日米の外務・防衛の当局者による日米合同委員会は、それを補う形で「アメリカ軍は低空飛行訓練を実施する際、日本の航空法の基準を用いる」と合意していますが、違反したとしても法的な責任を問うことができない仕組みになっています。
(求められる説明責任)
何が起きているのか知ることができず、不安を抱える島の人たちが多くいる中、アメリカ軍は、私たちの取材に対し、「日本の防衛のために万全の飛行能力を維持する必要がある一方、地域住民への影響を最小限にするため、あらゆる努力をする」と回答しています。
「あらゆる努力をする」と言うのであれば、奄美上空で何が行われているのか、アメリカ軍には最低限の説明を行う責任があり、日本政府も、それを促し、さらに、住民の意見を反映させていくための具体的な対応をとっていく必要があると感じています。
再掲:
昨年9月には奄美で日米合同実動(軍事)訓練が行われました。

9月21日の奄美新聞紙面
9月21日 南海日日
日米合同訓練を一部公開

隊庁舎内で、駐屯地内の警備要領について打ち合わせをする高射中隊と米陸軍兵=20日、奄美市名瀬

駐屯地のグラウンドで警備要領の説明を受ける米兵たち=20日、奄美市名瀬
陸上自衛隊と米陸軍が奄美市名瀬大熊の陸自奄美駐屯地で合同で行っている訓練「オリエント・シールド19」が20日、訓練の一部を報道陣に公開された。駐屯地で行っている共同警備訓練の一部で、隊員と米兵士が英語で警備要領を確認したり、陸自の装備品を隊員が米兵に解説する様子が見受けられた。
日米合同訓練を担当している陸自西部方面総監部は、今回奄美駐屯地で行われている警備訓練は「手の内を明かすことになるので報道公開はしない」としてきた。
ところが18日、今年3月に新編されたばかりの陸自奄美駐屯地や瀬戸内分屯地(瀬戸内町節子)のある奄美の地域住民に、「自衛隊の取り組みを理解してもらいたい」として、情報保全上問題のない場面を選び、訓練の一部を報道公開することに決めた。
20日、取材が可能になったのは、隊庁舎内で高射中隊と米兵が駐屯地の警備要領を確認する場面。陸自によると、日米が共同で対処しなければならない事態が国内で発生していると想定し、先遣部隊として奄美駐屯地に入った米軍が、後続部隊を受け入れる要領について、奄美駐屯地司令で奄美警備隊長の平田浩二1等陸佐の立ち会いの下、英語で打ち合わせをしていた。
また、グラウンドには航空機やミサイルを迎撃する防空用ミサイル「中距離地対空誘導弾(中SAM)」を配置。中SAMを構成する発射装置などの装備品の前に英文の説明パネルを設け、米兵らが隊員から説明を受ける様子が見られた。
訓練の性質や情報の保全上、報道陣に許可されたのは撮影のみ。やりとりの細部の報道や、隊員へのインタビューは規制された。現場で解説に当たった陸自西部方面総監部広報室は「今回は訓練の性質上、わずかな場面しかお見せできないが、地域の方々に少しでも陸自の活動や日米の取り組みをご理解いただきたい」と話した。
同日は、米陸軍兵の第3陣(約20人)が、米軍ヘリ2機で奄美駐屯地に入り、駐留している米兵20人との入れ替えを計画していたが、天候不良のためヘリが飛ばず、21日に延期された。
22日は駐屯地内に駐留している米兵士と隊員家族との日米文化交流プログラムが予定されている。
9月20日 KKB 鹿児島放送
9月16日 MBC南日本放送
labornetTV
奄美大島での日米軍事訓練に反対する
https://youtu.be/88RKLxG792M
奄美大島では、陸上自衛隊奄美駐屯地(ミサイル基地、今年3月開所)にて9月13日から日米合同軍事演習が始まる。これに対して、8月30日、抗議行動が現地(奄美大島奄美駐屯地、瀬戸内分屯地、奄美市名瀬憲法広場)で抗議行動が行われた。(主催・奄美の自然と平和を守る群民会議)
関連記事:全国各地の陸自部隊のみならず米軍までもやって来る!陸自駐屯地が出来た奄美大島。
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/blog-entry-779.html
10月29日 南日本新聞
敵基地攻撃能力、抑止か軍拡か 南西防衛最前線の奄美大島「現実感ない」 衆院選鹿児島

陸上自衛隊の瀬戸内分屯地に配備されている12式地対艦誘導弾(左)=4月、奄美市名瀬

12式地対艦誘導弾の長射程化イメージ図
中国が海洋進出を強めるなど日本周辺の安全保障環境が大きく変わる中、衆院選で安保論戦が深まらない。中国の抑止に向け、最前線となる奄美大島の陸上自衛隊に、相手領域内で日本への攻撃を阻止する「敵基地攻撃」に転用できる長射程化ミサイルの配備を求める声もあるが、地元では「現実感がない」との声が多い。憲法に基づく専守防衛にかかわる重要な問題だけに、専門家は「政治が判断材料を示すべきだ」と指摘する。
選挙戦真っただ中の22日から23日、中国とロシアの海軍艦艇計10隻が大隅半島と種子島の間の大隅海峡を通過した。18日には津軽海峡を抜け太平洋を南下しており、日本列島をほぼ一周した格好だ。
自衛隊の統合幕僚長を務めた河野克俊氏は「威嚇にも近い異例の行動。日米豪印に加え、米英豪で新たに連携する安保枠組みをけん制し、海洋進出の姿勢を崩さないことを示した」とみる。瀬戸内分屯地(瀬戸内町)や沖縄に配備されている12式地対艦誘導弾の長射程化が持論だ。
防衛省は本年度から開発に着手。5年かけて地上のほか、艦艇や戦闘機から発射できる運用も目指す。射程を現行の百数十キロから900キロ以上へ延ばす計画とされ、瀬戸内に配備された場合、上海や台湾が射程に入る。
河野氏は「自衛のため、相手の射程圏外から攻撃する『スタンド・オフ』能力は重要。中国艦艇の行動を抑制できる」と強調する。
一方、軍事評論家の前田哲男氏は奄美での長射程化について「相手の領域内で拠点をたたく敵基地攻撃が可能。能力の保有そのものだ」と批判。「抑止というが、軍拡競争に陥るだけ。専守防衛という国民合意を、議論もなしに逸脱し始めている」と警鐘を鳴らす。
地元の反応は冷ややかだ。瀬戸内建設業協会の伊東一宏会長(62)は「安保の最前線と言われても現実感がない」と首をひねる。
実感するのはむしろ経済効果だ。2016年4月から21年9月までに九州防衛局熊本支局が発注した奄美駐屯地(奄美市)と瀬戸内分屯地の建設関係費は計629億円。うち奄美市、瀬戸内町の延べ58社が147億円分を契約した。「5年前に比べ受注額は1.5倍に増え、人手が足りないぐらい」
元瀬戸内町議で基地整備に反対する平岡和治さん(87)=西阿室=は、攻撃能力を持てば“標的”にもなり得るとして「何発もミサイルを撃ち込まれたら守り切れない。もっとリスクを考えて」と警戒感を示す。
敵基地攻撃を巡り、自民は前向き、立憲民主が慎重姿勢、共産は絶対反対と各党のスタンスはさまざまだ。河野、前田両氏も主張こそ違うとはいえ、外交による平和的解決という出口戦略では一致する。「暮らしの基盤そのものの安保環境が厳しさを増す中、選挙戦の今こそ政治家から問題提起があってしかるべきだ」と訴える。
許せない!自衛隊に加え、米軍までが奄美で「やりたい放題」
6月19日 南海日日
米軍機、昼夜問わず飛来 奄美大島、情報相次ぐ

奄美市名瀬上空を飛ぶ米軍普天間飛行場所属のオスプレイとみられる機体=6月11日午後5時半ごろ
奄美市で、米軍機とみられる軍用機の低空飛行情報が増加傾向にある。6月は17日現在で12件。午後10時すぎの確認情報もあり、奄美大島上空を昼夜問わず米軍機が飛行している可能性がある。本土と沖縄県の米軍基地間を移動する際にも島上空を通過するとみられるが、専門家は「米海兵隊の低空飛行訓練が継続している可能がある」と指摘している。
同市総務課危機管理室によると、市街地上空や低空での飛行、それに伴う騒音に関する住民からの情報提供・苦情は、4月が5件、5月が10件。6月17日現在で累計27件となり、前年同時期(3件)を大幅に上回っている。
このうち、確認された時間帯が午後9時以降の情報が6件あった。最も遅かったのは6月3日午後10時半で、名瀬小湊の住民が4日、情報を寄せた。
苦情の内容は「昼夜問わず、住宅地などの真上をだいぶ低く飛んでいる」「ジェット音の『ゴオー』という音がうるさい」など。
目撃情報などから、奄美大島上空を通過する機体はオスプレイやC―130などの輸送機が大半とみられる。6月4日にはオスプレイが4機、同11日には3機が編隊を組むようにして名瀬市街地周辺を飛ぶ様子が確認された。
11日に名瀬長浜町の南海日日新聞社から撮影した3機のうち1機は、機体番号などから沖縄県の普天間飛行場所属のMV―22オスプレイとみられる。
2016年12月に同飛行場所属のオスプレイが沖縄県名護市沖の浅瀬に不時着し大破した事故の調査報告書などから、米海兵隊の奄美大島上空での低空飛行訓練実施を突き止めた市民団体リムピースの頼(らい)和太郎編集長は「当時との飛行ルートの違いは不明だが、米軍機による奄美大島上空での低空飛行訓練が、現在も継続して行われている可能性がある」と指摘した。
米軍機の奄美大島上空の飛行をめぐっては、市民団体「戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット」(城村典文代表)も独自に目撃情報を収集。4、5月の2カ月間で計73件確認されたという。
城村代表は「事故率が高いとされるオスプレイなどの米軍機が、市街地上空を怖いくらいの低空で飛行している。市は市民の安全安心を守る立場として、米軍に対してより強い抗議や、市街地上空の飛行禁止を宣言すべき」と主張した。
同市では軍用機の低空飛行などに関する住民からの情報提供を求めている。情報は県危機管理課を通じて九州防衛局などの関係機関に伝達。米軍機と判明した際は同防衛局を通じて米軍側に内容を伝え「住民生活への影響を最小限にとどめるよう求めている」という。
6月18日 NHK 鹿児島 NEWS WEB
奄美の空に異変 急増する米軍機
最近、奄美大島で、アメリカ軍の軍用機の目撃情報があとを絶ちません。事前に何の知らせもなく、軍用機が突然、飛来する状況が続き、市民の間では不安が広がっています。奄美の空で今、何が起きているのでしょうか。(取材・奄美支局 高橋太一記者)
奄美で急増アメリカ軍機の飛来
山の上を連なって飛ぶ輸送機や、集落上空を縦横無尽に飛び交うオスプレイ・・・。
奄美大島の上空では、最近、アメリカ軍の軍用機の目撃情報が相次いでいます。
住民からは、「最近頻繁になっている。地響きのようなすごい音がするのでびっくりする」という声や「墜落するのではないかとひやひやした」などといった声が聞かれ、不安が募っています。
奄美市役所には、住民から寄せられた目撃情報が記録されています。
通報件数は年々増加し、今年度に入ってからはすでに27件。
3か月足らずで昨年度1年間の23件をすでに超えました。
市街地上空での低空飛行が増加
奄美市で市民グループの代表を務める、城村典文さんは、島内各地に住む知人たちとともに軍用機の目撃情報を収集し県を通して防衛省の出先機関に報告しています。
機体の識別番号などから、奄美上空を飛ぶ機体は、多くが沖縄のアメリカ軍基地に所属するものだと分かっています。
4年間、奄美でアメリカ軍の機体を見続けてきた城村さんは、最近、飛来の増加とともに、ある変化が起きていると感じています。
それは、アメリカ軍機が市街地上空を低空で飛ぶようになったことです。
城村さんは、「学校の上、病院の上、幼稚園の上を低空で飛んでいる。墜落したら大惨事だ」と話していました。
アメリカ軍の飛行ルートはあるのか
奄美大島の市街地上空にアメリカ軍の飛行ルートができているのではないか。
そう思った私たちはまず、目撃情報が最も多い海兵隊の輸送機・オスプレイについて、アメリカ軍が公表している資料を確認しました。
アメリカ海兵隊が、2012年に公表した資料にはオスプレイは全国各地に設定されたルートで訓練を行うことが明記されていて、奄美大島にもそのルートの1つがあります。
地図上では島の西の端をかすめる形で線が引かれているものの、市街地や東側を通過するようには設定されていないように見えます。
実態を知ろうと、奄美上空の飛行について、オスプレイを運用するアメリカ海兵隊に問い合わせましたが、回答は「決められたコース内を飛行している」というものでした。
しかし、市街地の住民に話を聞くと、海兵隊の回答とは異なる状況が浮かび上がります。
市街地上空を低空で飛行していくのは日常茶飯事だと証言する住民が多く現れたのです。
奄美市の市街地にあるガソリンスタンドの従業員は、「多いときは週に3回くらいオスプレイが飛んでいるのを見る。飛行機の形が分かるくらい低く飛んでいる。小学校や中学校の上空を飛んでいるので危ないと思う」と話していました。
国・自治体の対応は
アメリカ軍機の飛行が市街地や、集落上空で増えていますが、地元の自治体単独で具体的に対応するのは難しいのが実情です。
先月、城村さんたちは奄美市に対して、「アメリカ軍機が市街地上空を飛ばないよう市が求めてほしい」とする要請書を提出しましたが、市は「引き続き関係機関と連携して対処したい」と返答しました。
アメリカ軍と直接やりとりする立場にある防衛省はNHKの取材に対し、個々の訓練の場所や内容などの詳細については、「承知していない」とした上で、「引き続き、アメリカ側に対し、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう求めていきたい」としています。
軍用機を運用する当事者、在日アメリカ軍の司令部に直接見解を尋ねましたが、得られた回答は「安全保障上の理由から運用にかかわる詳細については答えられない」、「すべての航空機の運用は日米間の合意や規定に従って行われている」というもの。
実態を明らかにすることはできませんでした。
専門家「地位協定の趣旨にも反する」
この問題について、長年、日米の安全保障と向き合ってきた軍事評論家の前田哲男さんは、「日米地位協定第5条は基地間を移動する権利を認めている。本来それは基地に出入りする権利に限定されていたが、アメリカ軍は移動の途中で低空訓練を行ってもいいという拡大解釈をしてきた。これは日米地位協定、安全保障条約の精神から明らかに逸脱しているが、日本政府はそれを認めている。こうした状況を変えていくことが必要だ」と指摘しています。
アメリカ軍基地とは関係が薄いと思われてきた奄美大島。
明確な説明や対応がないまま、軍用機が住民の生活の真上を飛び続ける状態が続いています。
解説:
(在日米軍「増加していない」)
そもそも、なぜ奄美大島上空へのアメリカ軍機の飛来が増えているのか。
アメリカ海兵隊に理由を尋ねましたが、アメリカ海兵隊は「奄美大島上空での飛行は増えていない」と回答しました。
しかし、これは奄美市の通報記録や、住民が感じている実態とは異なるもので、謎は深まるばかりです。
軍事評論家の前田哲男さんは、増加の理由ははっきりしないとした上で、アメリカ軍の軍用機が市街地を低空で飛行する目的について「オスプレイなどは敵のレーダーに映らないよう、山あいの地形に沿って飛行し、その後、市街地を目標に見立て、急降下する訓練を行っている可能性がある」と指摘しています。
(低空飛行は日本全国で問題に)
アメリカ軍機の低空飛行は、アメリカ軍基地が集中する沖縄に限らず、全国的に問題になっています。
全国知事会は2年前、防衛省に対して、訓練の時期やルートを事前に知らせることなどを求める提言を行いました。
しかし、最近では、四国や北海道などでも低空飛行の目撃情報が相次いでいるほか、奄美などの現状を考えると、実現にはほど遠い状況です。
(米軍機は航空法の適用を免除)
事態の改善には、大きな壁が存在します。
アメリカ軍の軍用機は、日米地位協定に伴う特例法で日本の航空法の適用を広く免除されているからです。
航空法が定める「最低安全高度」は人口密集地では周辺600メートルの最も高い障害物から300メートル、それ以外の地域では150メートルですが、アメリカ軍にはこの法律は適用されません。
日米の外務・防衛の当局者による日米合同委員会は、それを補う形で「アメリカ軍は低空飛行訓練を実施する際、日本の航空法の基準を用いる」と合意していますが、違反したとしても法的な責任を問うことができない仕組みになっています。
(求められる説明責任)
何が起きているのか知ることができず、不安を抱える島の人たちが多くいる中、アメリカ軍は、私たちの取材に対し、「日本の防衛のために万全の飛行能力を維持する必要がある一方、地域住民への影響を最小限にするため、あらゆる努力をする」と回答しています。
「あらゆる努力をする」と言うのであれば、奄美上空で何が行われているのか、アメリカ軍には最低限の説明を行う責任があり、日本政府も、それを促し、さらに、住民の意見を反映させていくための具体的な対応をとっていく必要があると感じています。
再掲:
昨年9月には奄美で日米合同実動(軍事)訓練が行われました。

9月21日の奄美新聞紙面
9月21日 南海日日
日米合同訓練を一部公開

隊庁舎内で、駐屯地内の警備要領について打ち合わせをする高射中隊と米陸軍兵=20日、奄美市名瀬

駐屯地のグラウンドで警備要領の説明を受ける米兵たち=20日、奄美市名瀬
陸上自衛隊と米陸軍が奄美市名瀬大熊の陸自奄美駐屯地で合同で行っている訓練「オリエント・シールド19」が20日、訓練の一部を報道陣に公開された。駐屯地で行っている共同警備訓練の一部で、隊員と米兵士が英語で警備要領を確認したり、陸自の装備品を隊員が米兵に解説する様子が見受けられた。
日米合同訓練を担当している陸自西部方面総監部は、今回奄美駐屯地で行われている警備訓練は「手の内を明かすことになるので報道公開はしない」としてきた。
ところが18日、今年3月に新編されたばかりの陸自奄美駐屯地や瀬戸内分屯地(瀬戸内町節子)のある奄美の地域住民に、「自衛隊の取り組みを理解してもらいたい」として、情報保全上問題のない場面を選び、訓練の一部を報道公開することに決めた。
20日、取材が可能になったのは、隊庁舎内で高射中隊と米兵が駐屯地の警備要領を確認する場面。陸自によると、日米が共同で対処しなければならない事態が国内で発生していると想定し、先遣部隊として奄美駐屯地に入った米軍が、後続部隊を受け入れる要領について、奄美駐屯地司令で奄美警備隊長の平田浩二1等陸佐の立ち会いの下、英語で打ち合わせをしていた。
また、グラウンドには航空機やミサイルを迎撃する防空用ミサイル「中距離地対空誘導弾(中SAM)」を配置。中SAMを構成する発射装置などの装備品の前に英文の説明パネルを設け、米兵らが隊員から説明を受ける様子が見られた。
訓練の性質や情報の保全上、報道陣に許可されたのは撮影のみ。やりとりの細部の報道や、隊員へのインタビューは規制された。現場で解説に当たった陸自西部方面総監部広報室は「今回は訓練の性質上、わずかな場面しかお見せできないが、地域の方々に少しでも陸自の活動や日米の取り組みをご理解いただきたい」と話した。
同日は、米陸軍兵の第3陣(約20人)が、米軍ヘリ2機で奄美駐屯地に入り、駐留している米兵20人との入れ替えを計画していたが、天候不良のためヘリが飛ばず、21日に延期された。
22日は駐屯地内に駐留している米兵士と隊員家族との日米文化交流プログラムが予定されている。
9月20日 KKB 鹿児島放送
9月16日 MBC南日本放送
labornetTV
奄美大島での日米軍事訓練に反対する
https://youtu.be/88RKLxG792M
奄美大島では、陸上自衛隊奄美駐屯地(ミサイル基地、今年3月開所)にて9月13日から日米合同軍事演習が始まる。これに対して、8月30日、抗議行動が現地(奄美大島奄美駐屯地、瀬戸内分屯地、奄美市名瀬憲法広場)で抗議行動が行われた。(主催・奄美の自然と平和を守る群民会議)
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